実例1 道外からの作成依頼のMさんのケース
当初、手元に何もなく工務店を訪問、口頭だけで自分たちの要望を伝えた・・・その結果
A工務店から提案を受けたプラン図は、間取りそのものが敷地に合致せず、建築費の概算金額も高額のため迷いながら検討。
B工務店は、自分たちのメモを元に言われたとおりに間取り図を書くが、新たな提案はなく概算金額も別途工事が多く疑問に思う。
「新築計画書」の作成 ステップ 1
他の工務店やハウスメーカー、設計事務所も考えたが、見通しが立たず期待感も薄く、どのように家づくりを伝えたら良いか判らず、
手島設計事務所で「新築計画書」を作成してから新たに会社選びを行うことにした。
平面図によって、仕上げ面積、窓サッシ、内部の建具、収納、水周り設備、電気など、見積りに必要な情報が分かります。
配置図は、道路の位置、方角、工事上の仮設や外構工事の必要性などが分かります。
断面図(又は立面図)は、高さ関係の全てが分かり、外壁や屋根の形状などの寸法が明記されています。
この段階の図面では、基礎や木材の数量は面積当りの概算的金額になりますが、面積算定図を添付して比較しやすくします。
「新築計画書」の作成 ステップ 2
図面などをセットして、「手島設計事務所」が作成者として、依頼者様へお渡しします。
「新築計画書」の行動 ステップ 3
○ 住宅雑誌やホームページで調べ、自分たちの考えに合っていそうで、実現してくれそうな会社数社に提案と見積りを依頼する。
○ 「新築計画書」として、あらかじめ要望、床面積、仕上げなどが明記されているので、短時間で担当者へ建てたい家の情報を伝達できる。
○ 情報の伝達が簡単なので何社でも少ない労力(時間)で可能、実例では、作成前2社、作成後3社へ打診して比較。
「新築計画書」の行動 ステップ 4
○ 数日後、住宅会社の担当者から、依頼者様へ連絡が入り、提案図と見積り書が「建築主様宛」に提出されます。
○ 比べてみて、次にどの住宅会社と交渉するか判断します。(手島設計事務所も相談を承ります)
○ 対応した人間の第一印象や相性のようなことも大切なポイントです。
見積り金額の比較 ステップ 5
会社選択の結論 ステップ 6
見積り書と提案図の結果C社に決定しました。理由は「新築計画書」で建てたい家の伝達事項が明記されているため、1850万円の中には欲しい物の工事費がほとんど計上されており、後にグレードアップを加えても1950万円で建てることが可能です。その他に工務店としてのポリシーや住宅建築の取り組みと標準仕様など、総合的に判断すると数字以上に得するように思えました。
比較表の重要な見方
A社との差額550万円、B社とは400万円の差額ですが、もし共通する「新築計画書」を元に見積り依頼をした場合は、これほど大きな差額にならなかったかも知れません。手元に何もなく行動した場合は、ニュアンス的な伝え方になったり、聞く側の受け止め方によって、各社の見積り書は全く違う金額になることがお分かりと思います。依頼者MさんがC社の存在を検討せずに、A社又はB社と価格交渉をしたところで、いったい、どこまで下がるのか想像してみてください。
本体価格の見極め
どこの住宅会社にも共通することですが、本体価格の見極め方が大変重要です。初めは安く見せかけて、打合せを繰り返す毎に追加工事になると言われると、どこまでアップするか分かりません。「新築計画書」で初めから大方の事を伝えると見積りの漏れが少なくなり、全体価格の予算の把握が正確にでき安心して家づくりを進めることが出来ます。
見積り・提案の依頼を受けた会社側
一方、工務店側としても、何もない段階から打合せを繰り返えし提案図と見積り書を提出するよりも、初めから建てる家の形や要望が分かり、早い段階で総体的に先が見えると受注(営業上)のためのグレードアップなどサービスがしやすくなります。反対に漠然とした伝え方の場合は、あとで損をしないため概算金額も多めに伝える場合が一般的で合計すると大きな差額になります。一度高く計上された見積り金額は、後になって、それほどのダンピングは期待できません。
手島設計事務所としての評価
○ 決定したC社は、関東圏の工務店でありながら外断熱を採用しおり、耐震性など構造的にも熱心に取り組んでいる事が分かった。
○ 「新築計画書」で仕様や要望事項を明記してあるので、伝えたいことが見積り書の中に漏れなく計上されている。
○ 書面には設計事務所名も明記してあるため、チェック事項を分かり易く纏めた提案書と専門家向けの見積り書となっていた。
この物件のその後
○ 実施設計と施工はC社ですが、手島設計事務所が駆体構造まで監修の立場をとり、地質調査結果に基づく意見を述べ、地盤改良を行う杭基礎を提言しました。
C工務店から提出された最終決定の平面図
新築計画書で作成した平面プランは決定図ではなく、あくまでも基本計画図です。この実例では、アウトラインは当初のプランニングと似ていますが、工務店等が決定した後、まったく違った平面プランになっても構いません。むしろ、更なる要望と、それを受けた提案をするべきと考えます。
実例2 「新築計画書」の作成依頼を受けたTさんのケース
あまりにも違う、ハウスメーカーの営業担当者から伝えられた概算金額。依頼者は、計画書作成の依頼と同時にハウスメーカーにも出向き「50歳代夫婦と親が住む平屋建て住宅」を建てる予定で、概算金額を聞くと、5000万円弱と伝えられました。同じような説明を聞いた私の概算は、外断熱構法で外構工事以外は全て含み約2500万円です。大手のハウスメーカーは高いといっても、これほどの金額差が出る訳はありません。要因は、対応した営業担当者の受け止めが方が、「平屋造りは高い」と思う一方的な先入観、それに工事費に精通していない。とすると、このハウスメーカーと金額的な交渉を行っても無駄なことです。もし、同じハウスメーカーの同じ担当者へ、あらかじめ作成した「新築計画書」手渡し説明をすると、専門部署に書類がまわり、どう考えても概算金額は5000万円にはならないと思います。ハウスメーカー、工務店、設計事務所のどこに頼む場合でも、「新築計画書」があれば有利に進めることが出来ます。
結局、Tさんは、当事務所が設計監理を行うことで委託を受けました。
要は、欲しい物を同じ条件で比べ、同じような物であれば、安く手に入れた方が得です。